2024年6月10日
医学部受験生の皆さん,こんにちは!医学部特訓塾代表の本田です。去る5月31日に河合塾から最新の私立医学部偏差値ランキングが発表されました。今回は最新の偏差値ランキング表をもとに,医学部受験指導歴15年以上の経験に基づく私見も交え,私大医学部偏差値ランキングを分析してみたいと思います。
目次
(1) 医学部偏差値ランキングが上昇した2校
(2) 医学部偏差値ランキングが下降した2校
(1) 現場で指導する立場で感じる医学部偏差値ランキング
(2) 志願者数の増減は医学部偏差値ランキングに反映されたのか
(1) 新設校医学部偏差値ランキング対決
(2) 愛知県医学部偏差値ランキング対決
(3) 関西圏医学部偏差値ランキング対決
(4) 九州医学部偏差値ランキング対決
1 最新偏差値ランキング表(河合塾発表)
偏差値 | 関東 | 関西 |
72.5 | 慶應義塾大学医学部 | |
70.0 | 順天堂大学医学部 東京慈恵会医科大学 日本医科大学 | 関西医科大学(↑) |
67.5 | 東北医科薬科大学(A方式東北・B方式東北) 国際医療福祉大学(↑) 自治医科大学 昭和大学医学部 東京医科大学 東邦大学医学部 | 大阪医科薬科大学 産業医科大学 |
65.0 | 東北医科薬科大学(一般) 杏林大学医学部 帝京大学医学部 東海大学医学部 日本大学医学部 | 藤田医科大学 近畿大学医学部 久留米大学医学部 |
62.5 | 岩手医科大学 獨協大学医学部 埼玉医科大学 北里大学医学部 東京女子医科大学 聖マリアンナ医科大学 | 金沢医科大学(↓) 愛知医科大学 兵庫医科大学 福岡大学医学部 |
60.0 | 岩手医科大学(↓) | 川崎医科大学 |
2 医学部偏差値ランキング変動は4校
今回,ランキングの変動があったのは,4校です。偏差値が上昇したのは,1つは,関西医科大学で,前年の偏差値67.5から70.0へと上昇しました。2つめは,国際医療福祉大学で,偏差値65.0から偏差値67.5へと上昇しました。
私としては,国際医療福祉大学が65.0だったことの方が不思議で,もっと偏差値が高いだろうと感じておりました。今回の上昇で,ようやく河合塾も正当なランキングにしてきたなと感じました。関西医科大学が偏差値70.0まで上昇したのは,昨年度学費を600万円下げたことの効果が出てきたのだと思われますが,大阪医科薬科大学をそこまで大きく突き放したのだろうか,という点ではいささか疑問も残ります。
逆に偏差値が下降したのも2校で,金沢医科大学が偏差値65.0から62.5,岩手医科大学が偏差値62.5から60.0に下降しました。
岩手医科大学は志願者数2379名のうち今年は1次合格者が450名以上出ました。多い年はもっと1次合格者を出します。かなり1次合格しやすい大学です。そして正規合格者が200名近く出た上で,繰り上げ合格の連絡が補欠の130番台までありましたから,医学部の中でもかなり合格を取りやすい大学です。さらにコロナ禍になって現役生に配慮したのか問題も急激に易化しました。基礎がキチンと出来ている生徒にとってはかなりねらい目の大学です。だから,コロナ禍以降,医学部特訓塾でも,毎年岩手医科大学の合格者は急増しました。だから,私の評価では偏差値60.0は妥当な数字です。
大手予備校は,基礎を徹底して固める指導ができないので,岩手医科大学の取りこぼし事例が多かったのではないか?だからこれまで河合塾の評価が高すぎたのではないか?そんな風に私は考えております。
また,金沢医科大学部も昨年までの65.0のカテゴリーは高すぎで,今回の62.5が妥当なランキングであると感じております。特に後期は英語・数学のみの1次試験で勉強が遅れている現役高校生には相当ねらい目な大学ではないかと考えます。
今回のランキング変動とは別に,杏林大学医学部や帝京大学医学部は,私の指導している経験上は,もう少し合格しやすい感覚もあるのですが,じゃあその下のカテゴリーかと言われるとそうでもなく,東北医科薬科(一般)よりも低いのかと言われるとこれまたそうでもないので妥当なカテゴリーと言えるのかもしれません。
医学部特訓塾からほぼ毎年進学者がでている東京医科大学に関して言えば,不正入試問題の後遺症も完全に消えて妥当なランキングに定着できたと考えられますね。
反対に内部紛争が報じられている東京女子医科大学ですが,感覚的にはここ昨年くらいまでは偏差値60.0くらいが妥当なランキングで,河合塾のランキングよりも低い感覚はありましたが,今年は補欠の繰り上げもほとんどなく,1次合格の難易度も心持ち上昇している気がしました。ですから62.5のカテゴリーに入っているのは妥当であると感じます。
3 医学部偏差値ランキングに関しての考察
今回のランキング変動とは別に,杏林大学医学部や帝京大学医学部は,私の指導している経験上は,もう少し合格しやすい感覚もあるのですが,じゃあその下のカテゴリーかと言われるとそうでもなく,東北医科薬科(一般)よりも低いのかと言われるとこれまたそうでもないので妥当なカテゴリーと言えるのかもしれません。
医学部特訓塾からほぼ毎年進学者がでている東京医科大学に関して言えば,不正入試問題の後遺症も完全に消えて妥当なランキングに定着できたと考えられますね。
反対に内部紛争が報じられている東京女子医科大学ですが,感覚的にはここ昨年くらいまでは偏差値60.0くらいが妥当なランキングで,河合塾のランキングよりも低い感覚はありましたが,今年は補欠の繰り上げもほとんどなく,1次合格の難易度も心持ち上昇している気がしました。ですから62.5のカテゴリーに入っているのは妥当であると感じます。
(2) 志願者数の増減は医学部偏差値ランキングに反映されたのか
先日投稿した「2024私立大学医学部入試の難易度はどうだった?」の記事にもある通り,2024年度私大医学部入試では,ほとんどの大学が志願者を増やしました。一方で6校だけが志願者を減らしました。その志願者数の増減はランキングに影響を与えたのでしょうか?
答えは否です。志願者数を減らした6校はいずれも偏差値ランキングを下げておりません。志願者数を減らす多くの理由は入試日程が重なってしまうことであり,来年度の入試日程がこの時点で明らかになっていない以上,河合塾はそれを予想することはできません。ですから,試験日程が重なったことによる難易度の変化は偏差値ランキング表には反映されないように河合塾も考えてくれているのです。
逆に考えると,受験生の皆さんは出願の際に,偏差値ランキング表を鵜呑みにするのではなく,実際の入試日程が明らかになってから,難易度の変化を判断することが必要となるのです。
私達,医学部専門予備校の強みは,その細かな変化をしっかりと負うことが出来る点です。大手予備校では
指導を行う担当者が私大医学部入試を知り尽くした人物でないのが普通ですから,ランキング表を発表して以降のきめ細やかな難易度の差を分析した指導はできません。また,難易度ランキングでは分からない問題との相性なども加味した出願戦略が逆転合格には欠かせませんから,医専予備校に所属しておくことは,難化が続く医学部入試を勝ち抜くためには必要なことであると付け加えておきます。
4 同一地域医学部偏差値ランキング対決
東京を除く地域では,私大医学部の数が限られており,どちらが難易度が高いんだろう?と疑問に感じることもあるかと思います。せっかくなのでその辺も論じてみたいと思います。
東日本大震災以降に東北地域で新設された,東北医科薬科大学と国際医療福祉大学医学部に関しては,昨年までは河合塾のランキング表では同じ偏差値65.0のカテゴリーに属していました。しかし,私の実感としては国際医療福祉大学の方がかなり手強い印象で,特にコロナ禍以降の入試では東北医科薬科大学は比較的合格しやすい印象を持っておりました。今回の改定で,国際医療福祉大学が偏差値67.5に上昇し,東北医科薬科大学よりも難しいと判断されたのは妥当であると考えております。
愛知医科大学と藤田医科大学は共に愛知県にある医学部ですが,東京の生徒達からはどちらが合格しやすいのか?とよく聞かれます。私が担当している化学などは圧倒的に愛知医科大学の問題が容易で高得点を出しやすいこともあり,過去問演習の指導を行う時も圧倒的にここ数年,愛知医科大学の方が合格点を取りやすいと感じておりました。ランキング表でも藤田医科大学の偏差値65.0に対し,愛知医科大学は62.5となっており,これは現場で感じている私の感覚と一致しております。
関西圏には私大医学部が4つあり,大阪医科薬科大学,関西医科大学,近畿大学医学部,兵庫医科大学の4校です。このうち,大阪医科薬科大学と関西医科大学が人気トップ争いをしておりますが,今回の河合塾のランキング表では関西医科大学が偏差値70.0に格上げとなり,西日本最難関校となっており,大阪医科薬科大学よりも明確に関西医科大学の方が難しいと河合塾は判断したようです。確かに関西では価格に対し消費者行動が他地域よりも敏感であるため,今回学費を600万円下げた関西医科大学に軍配が上がるのも分かる気がしますが,名門の大阪医科薬科大学がそこまで水を開けられてしまったのかと言えば,私は若干疑問を感じずにはいられません。
関西の残りの2校では,近畿大学医学部が兵庫医科大学よりも偏差値ランキングが上位になります。確かに医特塾の生徒も兵庫医科大学の方が近畿大学よりもこれまでの合格者を多数字輩出しております。
九州には,産業医科大学,福岡大学医学部,久留米医科大学の3校があります。このうち産業医科大学は毛色が異なる大学なので別格ですが,福岡大学医学部と久留米医科大学ではどちらが合格しやすいのか?という疑問は毎年のように塾生にも問いかけられます。
正直言って,九州まで受験に行く生徒が多い訳ではないので,どちらが合格しやすい,とは言い切れないのですが,東京からの交通の利便性の高い福岡大学医学部の方が合格者が多いため,福岡大学医学部の方が合格しやすいのかなあ…位しか分からないのですが,ランキング表から判断するに,久留米医科大学の方が少し難易度が高いようですね。
以上,河合塾発表の最新の私大医学部の偏差値ランキング表をもとに,私の現場講師としての長年の経験を加味して医学部の偏差値ランキングの分析をしてみました。
偏差値ランキングは大まかな医学部の難易度の目安にはなりますが,本文中にも述べた通り,入試日程の重なりだとか問題の相性などで,しっかりと分析をしなければなりません。ランキング表だけを鵜呑みにせず,しっかりと出願校の選定を行う必要があります。
少しでも受験生の皆さんのお役に立てれば幸甚です。
文責:本田哲生
医学部特訓塾代表。医学部特訓塾の設立の契機となった塾生を国立大学の医学部に合格させたときから数えると医学部受験指導歴25年。化学未修者でも1年足らずで化学を得意科目にさせ,数多くの塾生を医学部合格に導いてきた医学部合格請負人。