2024共通テスト利用 私大医学部偏差値最新ランキング

2024共通テスト利用と私大医学部偏差値最新ランキング

医学部受験生の皆さん,こんにちは!医学部特訓塾代表の本田です。今回は2024年の共通テスト利用の私立大学医学部入試のボーダーラインから見えてくる医学部難易度ランキングについて論じ,私立大学医学部受験において,共通テスト利用方式を出願すべきか否かを考察してみたいと思います。

目次

1 共通テスト利用入試とは

2 共通テスト利用入試ボーダーライン得点率

(1) ボーダーラインから分かる医学部難易度ランキング

(2) 河合塾発表の最新の医学部偏差値ランキング表(共通テスト利用大学のみ抽出)

3 最新の偏差値ランキングよりも共通テストボーダーラインが高めの医学部

(1) 帝京大学医学部

(2) 近畿大学医学部(中期)

(3) 福岡大学医学部

4 最新の偏差値ランキングよりも共通テストボーダーラインが低めの医学部

(1) 順天堂大学医学部

(2) 関西医科大学

(3) 産業医科大学

5 一般入試併用型は共通テスト利用方式よりも,共通テストのボーダーラインが下がる

(1) 順天堂大学医学部

(2) 関西医科大学

6 私立大学医学部の共通テスト利用方式のボーダーラインは非常に高い

7 共通テスト利用を狙うのは得策でないのか?


1 共通テスト利用入試とは

「共通テスト利用入試」とは、主に私立大学において行われている入試方式で、受験者の共通テストの結果を合否判定のために利用します。 共通テスト利用入試には、共通テストの結果のみで合否判定する「単独型」と,共通テストの結果と大学独自試験の結果を併せて合否判定する「併用型」の2種類があります。

私立大学医学部では,必ず二次試験に小論文や面接が課されるため,純粋な「単純型」はありません。また,一般入試が課される併用型もありますので,ここでは,「共通テスト利用方式」と「一般入試併用型」という区別をして論じて参ります。

 共通テスト利用入試を受験する単純なメリットとしては,私立大学医学部の一般入試だけでなく,共通テストという別の試験問題にもチャレンジできることから,受験機会が増えることが挙げられます。

2 共通テスト利用入試ボーダーライン得点率

(1) ボーダーラインから分かる医学部入試難易度ランキング

ボーダーラインとは合格可能性50%と河合塾が判断した得点率です。共通テストでは,試験当日の夜に大学入試センターが正解を発表するので,持ち帰った問題用紙に自分が回答した番号を控えておき,自己採点で自分の得点を予想しなければなりません。

2024年の共通テストに関し,河合塾が発表したボーダーライン得点率を3%刻みで表にすると以下のようになります。

ボーダーライン得点率関東関西
90%以上順天堂大学医学部(前期):90%
86~89%順天堂大学医学部(併用型):89%
国際医療福祉大学:88%
東京医科大学:88%
帝京大学医学部:88%
関西医科大学(前期):88%
関西医科大学(併用型):87%
大阪医科薬科大学:87%
近畿大学(中期):86%
82~85%東北医科薬科大学:83%
杏林大学医学部:83%
東海大学医学部:83%
近畿大学(前期):85%
福岡大学医学部:85%
藤田医科大学:84%
産業医科大学:83%
78~81%獨協医科大学:81%
埼玉医科大学:78%
愛知医科大学:80%

この表をみると医学部偏差値ランキングと随分似ているような感覚を覚えますね。

そこで,参考までに,共通テストを利用している私立大学医学部だけを抽出した河合塾発表の最新の医学部偏差値ランキング表を書き出してみます。

(2) 河合塾発表の最新の医学部偏差値ランキング表(共通テスト利用大学のみ抽出)

偏差値ランキング関東(共通テストボーダー得点率)関西(共通テストボーダー得点率)
70.0順天堂大学医学部(90%,併用型89%)関西医科大学(88%,併用型87%)
67.5国際医療福祉大学(88%)
東京医科大学(88%)
大阪医科薬科大学(87%)
産業医科大学(83%)
65.0東北医科薬科大学(83%)
帝京大学医学部(88%)
東海大学医学部(83%)
杏林医科大学(83%)
近畿大学医学部(86%)
藤田医科大学(84%)
62.5獨協医科大学(81%)
埼玉医科大学(78%)
福岡大学医学部(85%)
愛知医科大学(80%)

いかがでしょうか?

共通テストボーダーラインから判断される難易度ランキングと最新の偏差値ランキング表の偏差値カテゴリーにはかなり似通っていることが分かりました。

3 最新の偏差値ランキングよりも共通テストボーダーラインが高めの医学部

偏差値ランキングと共通テストボーラーライン得点率から判断される難易度ランキングは,ほとんどの私立大学医学部では一致します。しかし,共通テスト利用の難易度ランキングが高めになる医学部が3校ありました。帝京大学医学部,近畿大学医学部(中期),福岡大学医学部の3校です。

(1) 帝京大学医学部

ほとんどの共通テスト利用の私立大学医学部では,英語・リスニング・数ⅠA・数ⅡBに加え理科2科目を必須とし,さらに大学によっては現代文や古文漢文・社会科を必要とする場合もあります。そんな中で,帝京大学医学部は,英語を必須としたうえで,数ⅠA,数ⅡB,理科,国語のうちから2科目を選択する方式で得意科目を2つ選べば良いため,高得点が出やすいことからボーダーラインの得点率が高くなったのだと考えられます。

(2) 近畿大学医学部(中期)

近畿大学医学部中期の共通テスト利用型は英語必須に加え,現代文と数ⅠAから1科目,理科を2科目という特殊な選択形式で,この形式がハマりやすいタイプの受験生にとっては高得点が出しやすかったためにボーダーラインの得点率が高くなったのだと考えられます。

(3) 福岡大学医学部

福岡大学医学部は,英語の外部資格が加点対象になるという特徴があり,ボーダーラインが高めになってしまうのではないか,と考えられます。また九州地区が国公立志向である土地柄であることから,共通テストの対策を十分に積んでいる国公立大学受験生の一部が共通テスト利用方式に流れてくる影響があるのではないかと考えられます。なにせ,共通テストだけでほぼ合格が勝ち取れる機会のある大学が九州地区にはこの福岡大学医学部しかありませんので,5名の椅子を争う試験で本来の偏差値ランキングよりも高くなってしまうのは仕方がないことだと思われます。

4 最新の偏差値ランキングよりも共通テストボーダーラインが低めの医学部

偏差値ランキングと共通テストボーダーライン得点率から判断される難易度ランキングはほとんどの私立大学医学部では一致しますが,その中で,共通テスト利用の難易度ランキングが低めになる医学部が3校ありました。順天堂大学医学部,関西医科大学,産業医科大学の3校です。

(1) 順天堂大学医学部

これは,併用型のボーダーライン得点率が低くなっているだけで,一般の共通テスト利用型ではカテゴリー差がありません。

(2) 関西医科大学

関西医科大学は,偏差値ランキングが上がってしまったのが原因です。共通テストボーダーラインは大阪医科薬科大学とほぼ同じですから,むしろ偏差値ランキングを大阪医科薬科大学と同じにすべきだと私は考えます。

(3) 産業医科大学

産業医科大学は,別途2次試験として学科試験があり,しかも,共通テスト:2次の学科試験=300650と2次の学科試験の方が比重が重く,共通テストだけでは合否が決まりません。

そのため,一般の国公立大学と同様に共通テストのボーダーラインが私大の共通テスト利用方式よりも低くなってしまいます。これは例外と捉えるべきでしょう。

5 一般入試併用型は共通テスト利用方式よりも,共通テストのボーダーラインが下がる

(1) 順天堂大学医学部

順天堂大学医学部では,共通テスト利用方式前期のボーダーラインが90%であるのに対し,一般入試併用型では89%と少し低い数字になっています。一般入試併用型では一般入試も受験しなければならず,共通テストと一般入試の配点比率が900300です。

(2) 関西医科大学

同様に関西医科大学でも共通テスト利用方式前期が88%であるのに対し,一般入試併用型では87%となっています。一般入試併用型の共通テストと一般入試の配点比率は600600です。

以上から,一般入試併用型は,必ず共通テストのボーダーラインが下がることが分かります。

6 私大医学部の共通テスト利用方式のボーダーラインは非常に高い

2024年入試において,国公立大学の共通テストのボーダーラインは,地方大学で低めのところでだいたい80%でした。国公立大学を受験する場合,共通テストの必要な科目数が私大医学部と比べ多いので単純な比較はできませんが,順天堂大学医学部や国際医療福祉大学,関西医科大学などが社会の受験までを課していることを考えると

私立大学医学部の上位校は地方国公立大学の医学部よりも難易度が高いと判断せざるを得ない状況です。

いまだに国公立大学信仰を強くお持ちの医学部受験生の保護者様が大勢いらっしゃることは存じておりますが,

近年,私立大学医学部も相当難易度が高くなっていることをご理解頂ければ幸いです。

7 共通テスト利用を狙うのは得策でないのか?

これまで考察してきたように,共通テスト利用の私立大学医学部受験は,偏差値ランキングとほぼ相関関係があります。したがって,極端に簡単になったりする訳ではないことが分かりました。もちろん,共通テスト利用として受験機会は増えます。

それに,もう2点注意点があります。一つは,共通テスト利用の募集定員が少ないことです。

もう一つは,共通テスト利用の私立大学医学部受験は,共通テストの傾向が一般の私立大学医学部入試の出題傾向からかけ離れている面があることです。

これらを加味すると,共通テスト利用は 私立大学専願者にとっては,あまり得策でない様にも感じられると思います。

 

特に私立大学専願者で,勉強が間に合っていない方については,無理に傾向の違う共通テストまで受験しようと考えると負担が大きくなりすぎるため,共通テスト利用は避けた方が賢明かも知れません。だから多くの医専予備校では共通テスト受験を勧めていないのだと思います。

しかし,その一方で,受験生の共通テスト離れが進んでいる状況を考えると,出願戦略次第では,共通テスト利用受験で合格を勝ち取ることができる可能性が十分にあります。実際に医学部特訓塾では,ここ数年間,国公立大学志望者でない生徒が共通テスト利用方式で,私立大学医学部の合格を勝ち取るケースが年に複数名あります。

最後までこの記事をお読みいただいた方にプレゼントのような情報を1つ。ここ数年の河合塾のボーダーラインは少し高めです。実際には自己採点結果がボーダーラインよりも低い点数で合格する生徒が毎年います。

だから,ボーダーラインの点数が高めだから共通テスト利用をはじめから諦めてしまうというのは実は勿体ないのです。チャレンジする価値は十分あると私は考えております。あくまでも私個人の考えですが。

今回の記事が受験生の皆様の出願戦略の一助となれば幸甚です。

文責:本田哲生

医学部特訓塾代表。医学部特訓塾の設立の契機となった塾生を国立大学の医学部に合格させたときから数えると医学部受験指導歴25年。化学未修者でも1年足らずで化学を得意科目にさせ,数多くの塾生を医学部合格に導いてきた医学部合格請負人。