2026東海大学医学部2日目

東海大学2日目 化学

東海大学の2日目の問題は赤本に収録されず,東海大学2日目を受験しなかった受験生には問題が手に入らないという問題があります。だから2日目の解答速報を医専大手の予備校が自慢げに披露しても,その場の採点には使えても,次年度の入試の対策をするにあたっては全然役に立たないというのが現実です。

だから,今回はかなり気合を入れて著作権に触れないようなレベルで問題を再現し,読めばどんな問題だったのかを受験生であれば理解できるようにしました。2027年の入試に向けた貴重な資料足りえると自負しております。

受験生の皆さんに有効活用して欲しいです。

目次[非表示]

  1. 1.1 第1問
  2. 2.2 第2問 希薄溶液の性質(冷却曲線・凝固点降下)
  3. 3.3 第3問 無機化学
  4. 4.4 第4問 有機化学 エノール形、ケト形
  5. 5.5 第5問

1 第1問

問1 二酸化炭素の結晶の密度を求める問題。面心立方格子だから,二酸化炭素は単位格子中に4個。

  d={44÷(6.02×10^23)×4g}÷{(5.6×10^-8)^3}1.7 g/cm3 だね。

問2 水分子が単位格子中に占める体積の割合を求めろという問題。単位格子が立方体でないところが厄介です。

  ・底面は一辺7.8×10^-8㎝のひし形で高さは7.4×10^-8cm

  ・単位格子中に水分子は12個入っている。

  ・水分子1つの体積は1.2×10^-23 cm3

    →ひし形の面積は,17.8×10^-8cmの正三角形2個分だから,

S=7.8×10^-8 × 7.8×10^-8 × √3 / 2 =52.6266×10^-16 cm2

従って単位格子の体積は,52.6266×10^-16cm2 × 7.4×10^-8 cm 389.44×10^-24 cm3

       よって水分子の占める割合は,{(1.2 × 10^-23 cm3)×12 } ÷ (389.44×10^-24 cm3) 0.37

問3 水素結合に関する正誤問題

   ア 水素結合は,電気陰性度の大きい原子(F,O,N)どうしの間に水素原子をはさんで形成される。 正

   イ 水素結合は,分子間のみで形成される。 誤

     →タンパク質の2次構造などでは分子内で水素結合をすることでαヘリックスやβシート構造を

      形成しているよね?

   ウ 水素結合の強さは,ファンデルワールス力よりも強い 正

   エ 水素結合の強さは,共有結合と同等である。 誤

   オ 水素結合が分子間にはたらく物質の沸点は,その分子量から予想される値よりも高くなる。 正

問4 二酸化炭素および水の状態図に関する記述の正誤判断

   →前日の杏林にも同じような図の問題がでました。物質の状態図で,水の図と二酸化炭素の図が2つ与えられています。正誤問題ですが,指示に従ってグラフを読みとれば,正しい判断ができます。

   ア Aの固体を圧力一定のまま温度を変化させて,液体にすることができる。 誤

     →圧力一定ということで,図のA点から真横に線を引けば液体に重ならないことが分かります。

   イ 点Bの気体を温度一定のまま圧力を変化させて,液体にすることができる。 正

    →温度一定だから,そのまま真上に線を引けば液体にぶつかりますね

   ウ 点Cの固体を温度一定のまま圧力を変化させて,気体にすることは出来ない。 誤

    →温度一定だから,そのまま真下に線を引けば気体にぶつかりますね

問5 XYの状態を超臨界状態と言います。超臨界状態にある物質は「超臨界流体」と呼ばれます。

2 第2問 希薄溶液の性質(冷却曲線・凝固点降下)

問1 基本的な語句の穴埋め問題ですね。

物質を冷却するときの,物質の温度と冷却時間の関係を示したグラフをa(冷却曲線)という。

液体を冷却していくと,液体の状態を保ったまま,温度が凝固点よりも低くなることがある。

これをb(過冷却)の状態という。

問2 正誤判断です

  ア 溶液の凝固点とは,溶液を冷却するとき,溶媒だけが凝固し始める温度をいう。 正

  イ 純溶媒では,凝固が始まると温度は凝固点で一定となり,すべて凝固すると温度はさらに低下する。 正

  ウ 純溶媒の凝固点は,同じ溶媒の凝固点よりも高い。 正

 →おそらく出題者は「すべて正」を正解と考えて文章を作っていると思われますが,過冷却という現象を考慮すると,過冷却が終わりグラフが底になったところが凝固し始めのところだから,過冷却を考えるとア,イは誤りということになります。正解は出題者にしか分かりませんね。

問3 塩化ナトリウム,塩化カルシウムの電離度は1とする条件下での凝固点降下の問題です。モル凝固点降下は

  1.85Kkg/molが与えられています。

(1)塩化ナトリウム1.17gを水100gに溶かしたときの凝固点降下度を求めよ。

    →ΔT=1.85 × {(1.17/58.5)×2}mol / 0.1kg = 0.74 K

    (2)塩化カルシウムを用いて()と同じ凝固点降下度を得るためには,塩化カルシウムを水150gに何g溶かす必要があるか。

    →上記()の説明で□で囲んだ部分が0.4となることから,

     塩化カルシウム水溶液の電離を考慮したモル濃度が0.4となればよい。求める塩化カルシウムをx g

とすると

0.4 = {( x / 111.1)×3mol} / 0.15 kg  を解いてx=2.22 g

問4 ある不揮発性の非電解質3.00gを水500gに溶かしてgyozaウ個展を測定したところ,凝固点は0.185K降下した。この非電解質の分子量はいくらか。

   → 求める分子量をMとすると

     0.185 = 1.85 × {(3 / M )mol / 0.5 kg}  これを解いてM60

3 第3問 無機化学

問1 CaCl2 , Ca(OH)2, CaCO3, CaSO4 のうち2種類が混合した試料アがある。

  試料アは潮解性を示さず,希塩酸を加えても気体が発生しなかった。アに含まれる化合物は何と何か?

  → 潮解性があるのはCaCl2のみ。CaCO3は希塩酸と反応して二酸化炭素を発生するが,Ca(OH)2は水を生じるだけで気体は発生せず,CaCl2 と CaSO4は反応しないので,答えはCa(OH)2CaSO4

問2 NaCl, NaOH, Na2CO3, NaHCO3のうち,2種類が混合した試料イがある。

  試料イは潮解性を示し,塩酸を加えると気体を発生した。イに含まれる化合物は何と何か?

  → 潮解性があるのはNaOH

        塩酸を加えて二酸化炭素を発生するのはNa2CO3 NaHCO3の両方だから 

    Gの「この条件では2種類を断定できない」が正しい。

問3 MgCl2, MgSO4, CaSO4, BaSO4 のうち,2種類が混合した試料ウがある。

  試料ウは潮解性を示さず,炎色反応は黄緑色のみであった。

 → 潮解性を示すのは,MgCl2のみ。炎色反応はCa2+が橙赤色,Ba2+が黄緑色,Mg2+は示さないので

   答は,MgSO4BaSO4

問4 NaCl, Na2CO3, NaHCO3, CaCO3 のうち2種類が同じ質量だけ均一に混合した試料エがある。

   試料エ1.00gに希塩酸を加えたところ,完全に反応して気体が発生した。発生した気体の体積は,

圧力1013hPa, 温度300Kにおいて263mLであった。

  → エを構成する2種類の化合物はそれぞれ0.50gずつである。完全に塩酸を反応させると,

   Na2CO3からは,0.5/106 0.0047mol  NaHCO3からは,0.5 / 84 0.0060 mol

      CaCO3からは,0.5 / 100 0.005mol の二酸化炭素が発生する。

   発生した気体の合計の物質量は,n= (1.013 ×10^5  × 0.263 ) / ( 8.31×10^3 × 300 ) 0.0107mol

      だから,Na2CO3 NaHCO3の組合せが答となる

問5 アンモニアソーダ法では使用されたアンモニアは別の化合物になり,「カルシウムの化合物との反応によってアンモニアに戻されて」再利用される。この反応式を書け

  →2 NH4Cl + Ca(OH)2 CaCl2 + 2 NH3 + 2 H2O    医特生なら誰でも書ける王問題ですね。

4 第4問 有機化学 エノール形、ケト形

問1 C4H8Oの構造異性体をすべて書き出して回答すれば良い問題です。

今回はエノール体(C=Cに直接-OH基が結合している不安定な構造)も無視せず,書き出す必要があります。

問2 ケト形化合物の()に対し,エノール形()(ⅲ)の2つが存在するのは

  (ⅰ)がエチルメチルケトンであり,(ⅱ)(ⅲ)は C2にヒドロキシ基がついていてC1C2の間に二重結合をもつか,C2C3の間に二重結合をもつ構造式である。

  (ⅱ)(ⅲ) C1=C2C3-C4  または C1C2=C3-C4

(1)エチルメチルケトンは(a)ヨードホルム反応陽性である、が(b)アルデヒド基を持たないので還元性は示さない。そして,ケトンなのでこれ以上酸化されないので過マンガン酸カリウムの赤紫色を消すことはない。

(2) ケト形,エノール形 と空欄に入れるだけの問題

(3)C4H8O 30mg燃焼すると二酸化炭素は何g生じるかということを聞いている問題。

   C4H8O 1molからCO2は4モル生じるので,

(30×10^-3 / 72 × 4) mol × (44 ×10^3) g/mol 73.3 mg

問3 上記のC4H8Oの構造異性体のうち,①白金触媒で水素を付加させるので,アルデヒド,ケトンではないことが分かります。さらに金属ナトリウムと反応しないから,エーテル型ですね。

2種類のエーテル型に水素を付加すると同一の化合物になるものを探します。

 C=C-C-O-C または C-CC-O-C が水素を付加して C-C-C-O-C になるという話ですね。

さらに立体異性体をもたない(幾何異性体を持たない)方を選べば良いので

 C=C-C-O-C が答えです。

5 第5問

問1・3 デンプンとセルロースはどちらもグルコースが縮合重合した多糖類である。セルロースはグルコースが

(ア:β-1,-グリコシド結合)によって重合した直鎖状の構造をもつ。一方,デンプンはグルコースが

(イ:α-1,4-グリコシド結合)により重合した直鎖状の多糖1(アミロース)とイにより重合した分子の途中で,

(ウ:α-1,6-グリコシド結合)によって多数の枝分かれ構造をもつ多糖2(アミロペクチン)の二種類によって構成されている。デンプンはヒトがもつ消化酵素アミラーゼによって(エ:マルトース)に分解される。

問2 多糖1と多糖2に関する正誤判断

a)多糖1は多糖2に比べて水に溶けやすい 正

b)多糖1と多糖2の分子構造はどちらも鎖状の部分はグルコース6分子で1回転するらせん構造になっている。

c)ヨウ素デンプン反応では,多糖1は濃青色を呈し,多糖2は赤紫色を呈する。 正

d)多糖1は多糖2に比べると比較的分子量が小さい。 正

e)うるち米のデンプン中には多糖1は7080%含まれている。

 →うるち米にはアミロースが20%程度,アミロペクチンが80%含まれている。

  ちなみにもち米はアミロペクチンがほぼ100%である。

問4セルロースが水に不溶で化学的に安定な理由を1つ選ぶ

→C セルロースが平行に並んで分子間に多くの水素結合が形成されるため が正しいです。 

問5 正誤問題

a)キュプラ繊維は,セルロースを銅アンモニア溶液に溶解してつくられ,光沢があり,感触が滑らかである。

   → 正しい

b)ビスコースレーヨンは,セルロースを濃硫酸に溶かして再生することで得られる。

   → 誤り

c)アセテート繊維は,セルロースに無水酢酸と氷酢酸,少量の濃硫酸を作用させてエステル化し,後処理をした後にアセトンに溶かして繊維状にしたものである。 → 正しい

本田 哲生
本田 哲生
医学部特訓塾代表。化学科講師。東京大学教育学部卒業。東京大学理科二類に在籍中の1992年から,杉並区阿佐ヶ谷の地で大学受験の専門塾を設立。30年以上,大学受験の指導を続けている。どうしようもないダメな生徒を自宅に下宿させ国立大学医学部に合格させたことを契機に,医学部受験指導を開始,医学部受験指導も23年に及ぶ。2008年に小柏先生と共に医学部専門予備校である医学部特訓塾を立ち上げ現在に至る。医学部特訓塾代表であり,同時に現場に立ち続ける化学講師でもある。

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