2025年医学部入試はどうなるか?最初の1週間の出題内容から分析する
1月21日(火)の愛知医科大学からスタートした2025年医学部入試も1週間が経過しました。受験した生徒達からの感想や,持ち帰ることの出来た入試問題の解答速報を作成している立場から見えてきた今年度入試の傾向と,今後医学部受験生がとるべき対策について考察致します。
目次[非表示]
- 1.新課程入試の影響
- 2.2025年度の入試問題の難易度
- 2.1.数学・物理では難化している学校が出現
- 2.2.化学は平易な出題が続く
- 3.問題の流行
- 3.1. 2025年の数学の流行は?
- 3.2. 2025年の化学の流行は?
- 4.今からやるべき対策
- 5.ここからは気力の勝負だ!
新課程入試の影響
1月26日の近畿大学医学部の入試問題では,熱化学からの出題がありました。その出題の中では,新課程のエンタルピー表記がなされており,共通テストや模擬試験のような旧課程学習者に対する配慮はなされておらず,新課程をしっかりと練習しておかなければ明らかに不利になる出題でした。このことから,今後の入試でも新課程内容を優先して勉強しておかなければならないことが明らかです。
2025年度の入試問題の難易度
数学・物理では難化している学校が出現
1月23日の杏林大学医学部の入試では数学が非常に難化しました。解答速報を作成している講師からも,合格点が40%程度になるのではないかとの声がありました。完全に正解をつくるにはプロ講師でも2時間近くかかるだろう,という意見もありました。
また,1月24日の関西医科大学の物理でも解答作成がとても困難で,プロ講師数人がかりでも模範解答を作成するのに数時間を要しました。本日(1月27日)の獨協医科大学の数学も相当難しかったみたいです。
これらの現象はコロナ禍が始まった2020年以降の入試では久々のことであり,2025年度の医学部入試において数学や物理に関しては,医学部入試が難問化していたコロナ禍以前の状態に戻りつつあるのではないかとの意見もあります。物理は一昨年までが相当平易だったことに対し2024年度の入試から難易度が上がる大学がチラホラ出現し始め,その傾向が2025年も続いているということなのでしょう。
化学は平易な出題が続く
しかしながら,化学の出題では1月21日の愛知医科大学,23日の杏林大学,25日の関西医科大学や東北医科薬科大学,26日の近畿大学,川崎医科大学いずれをとっても出題は平易であり,基礎を十分に身に付けている生徒であれば高得点が出せる試験問題でした。本日27日に実施された,比較的難しく分量も多い出題でおなじみの獨協医科大学でも化学は標準的な難易度だったと受験してきた塾生達は口をそろえて言っておりました。2025年度の入試において,化学は今のところ昨年並みの平易な出題が続いているようです。
問題の流行
2025年の数学の流行は?
医特の数学科主任の小柏先生によると,「空間における立体」や「二次曲線」がどうやら流行の兆しがあるようです。「空間における立体」は杏林大学医学部や関西医科大学,獨協医科大学などで出題されています。「二次曲線」は,極方程式などに絡めて出題されており,関西医科大学などで出題されているようです。
入試には流行があるので,この辺の対策を通っている予備校の先生方にお願いをするのが良いかと思います。
2025年の化学の流行は?
私が担当する化学では,愛知医科大学で,大問で「鉄」が出題されましたが,帝京大学医学部でも同様に「鉄」の出題がありました。もしも愛知医科大学を受験した後に「鉄」の復習を十分にやっていれば,帝京大学で「鉄」が出題された際には,得点源とすることが出来たと思われます。さすがに「鉄」が流行しているとは言い切れませんが,見直しておくことは重要ですね。
理論分野に関して言うと,本日(1月27日)に実施された獨協医科大学の化学では,「モール法」が出題されましたが,「終点では塩化物イオンが何%になっているか」という典型問題が出題されていました(これが典型問題であると断言できない受験生はちょっと危険ですよ…!)。そして,1月23日の杏林大学医学部でも溶解度積の出題があったので,溶解度積(モール法も溶解度積の一分野です)は要注意かもしれませんね。溶解度積は,幅広く典型問題をしっかりとやり込んでおいていただきたいと思います。
このように流行とまでは言えないかも知れませんが,ある程度似通った出題は行われますので,解答速報のメルマガ登録を行い,受験した試験に関しては見直しをして頂きたいと思います。明日から医特でも解説講義をアップしてメルマガ登録者に講義を見てもらえるようにする予定です。
今からやるべき対策
2025年の数学に関してやるべきは複素数平面?
数学では,流行の兆しのある「空間における立体」は相当難しい分野で、付け焼刃でどうこうなるものではありませんので,ここは前半の誘導のついている簡単なところだけを解いて,あとは勇気をもって捨てるという判断で良いかと思います。
逆に複素数平面は標準的な出題が多いと予想されるので,この辺をしっかりとやっておくと良いのではないかと小柏先生が言っていました。参考になれば幸いです。
2025年の化学は無機・有機の知識の完成!
私が担当している化学は,今のところ全体的に平易な出題が続いているという実感しかないのですが,予備校の解答速報の講評を読んでいると,「ダイヤモンドが熱をよく通すことを知らないと解けない」とか「メタンの結合角が109.5°であることを知っている必要がある」というようなコメントが見受けられます。
これは,おそらく解答作成者が普段教えている生徒達がそういった基礎的な知識を十分に定着させられていないのではないかという風に私には感じ取られました。多くの予備校では,教えていて充実感のある理論分野の講義を中心に指導がなされていて,有機化学や無機化学の知識の定着が疎かにになっていると思われます。ですから,今後の試験においては無機化学や有機化学の知識面をもう一度しっかりと定着させ,試験に臨んで頂きたいと感じております。実際に今年の試験場で書かされている化学反応式はいずれも医特では普段から常識的に書かされているものばかりなので,基礎をしっかりと固めておくことが重要だと思われます。
ここからは気力の勝負だ!
まだ受験の最初の1週間しか過ぎてはいません。ここからは気力の勝負です。結果に一喜一憂するのではなく,
受験した問題で修正すべき点が見つかったら丁寧に修正作業をする必要がありますので,通っている予備校の先生にご相談ください。もしも当てがないようでしたら医学部特訓塾(03-6279-9927)までご相談ください。