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東京女子医科大学(2025年)の化学の出題を大予想!

今回は、数日後に迫った東京女子医科大学の入試に向けて,今年の入試問題の流行と,過去20年分の入試問題を分析してきた医学部特訓塾の代表兼化学講師の本田が,大胆に出題を予想致します。受験生の皆様のお役に立てれば幸いです。また,他大学を受験される方も,今年の入試の流行を踏まえた予想なので是非ご一読いただければ幸いです。尚、メルマガ登録をして頂いた方には,B41枚で収まるように作成した予想プリントのダウンロードが可能となっていますし,動画セミナーも視聴できますので,是非ご活用ください。

東京女子医科大学山岡美結


目次[非表示]

  1. 1.2025年の理論分野の出題予想
    1. 1.1.pHを求めさせる問題
      1. 1.1.1.弱酸のみのpH
      2. 1.1.2.緩衝液のpH
      3. 1.1.3.中和点のpH
      4. 1.1.4.中和点を越えたときのpH
    2. 1.2.二段階滴定
      1. 1.2.1.ワルダー法
      2. 1.2.2.ウィンクラー法
    3. 1.3. DO(溶存酸素)
    4. 1.4.ブランクテストのあるCOD
  2. 2. 無機でチェックしておきたい内容



2025年の理論分野の出題予想

1月26日の近畿大学医学部の入試問題では,熱化学からの出題がありました。その出題の中では,新課程のエンタルピー表記がなされており,共通テストや模擬試験のような旧課程学習者に対する配慮はなされておらず,新課程をしっかりと練習しておかなければ明らかに不利になる出題でした。このことから,今後の入試でも新課程内容を優先して勉強しておかなければならないことが明らかです。

pHを求めさせる問題


酢酸に水酸化ナトリウムを滴下する中和滴定を題材にする典型問題ですが,2024年に東京医科大学で,中和点を越えた時のpHにも言及したことから,その辺も含めて,しっかりとパターン分けして学習しておくことが必要だろうと思います。

弱酸のみのpH


水酸化ナトリウムの滴下量が0であるとき,つまり酢酸のみのpHを求めるパターンです。
ギ酸の様に電離度が高い弱酸は近似が出来ませんが,酢酸あたりならまず近似が可能であると判断して大丈夫でしょう。ズバリを[H+]=√(C・Ka)を代入すれば,pHは求まります。数式はコラムだと見にくいからメルマガ登録してプリント出力して欲しいなぁ…

緩衝液のpH


水酸化ナトリウムの滴下開始後,中和点に至るまでの溶液のpHを求めるパターンです。
ここでは,混合溶液中の酢酸の濃度をC1,酢酸ナトリウムの濃度C2をとすると,酢酸イオンのモル濃度もC2となります。

Kaの式にそれらの値を代入すれば水素イオン濃度が求められます。


中和点のpH


問題集では「塩の加水分解」と呼ばれるところです。溶液中には酢酸も水酸化ナトリウムもなく,酢酸ナトリウムのみが存在している状態です。ここで気を付けたいのは,酢酸ナトリウムのモル濃度です。例えば0.1mol/Lの酢酸水溶液100mLと0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLを混合したとき、生じる酢酸ナトリウムのモル濃度は,0.1mol/Lではなく,半分の濃度の0.05mol/Lとなることです。ここを間違えてしまうと,せっかく解いても不正解になってしまいます。多くの受験生が陥りやすいミスですので,ご注意ください。
 この中和点のpHはずばり,[OH-]=([CH3COONa]Kw/Ka)a)で計算が出来ます。もっとショートカットしたければ,[H+]=√(KaKw/[CH3COONa])を覚えておいても良いでしょう。

また、この問題では、酢酸ナトリウムが完全電離して生じた酢酸イオンが加水分解する式 の平衡定数 の分母分子に[H+] をかけることで,Kh=Kw/Ka が成立することも当然に覚えておかなければなりません。


中和点を越えたときのpH

ここは一般的な問題集等には収録されていないので,全く御存知でない受験生も多数いらしゃると思います。
溶液中には酢酸ナトリウムと水酸化ナトリウムが共存しています。このとき、酢酸ナトリウムは完全に電離するので酢酸イオンが生じますが,この酢酸イオンの加水分解反応は,水溶液中に共存している水酸化ナトリウムの電離によって生じる[OH-]の共通イオン効果により,ルシャトリエの原理が働き,反応が進行しません。
その結果,この混合溶液中の[OH-] は[NaOH] と等しいとみなすことが出来ます。


 このパターンの応用例として,酢酸と塩酸が混在するような場合,塩酸の電離によって生じる水素イオンの存在による共通イオン効果で酢酸の電離が阻害される(ルシャトリエの原理がはたらく)ので,混合溶液中の水素イオン濃度は塩酸の濃度と等しいとみなせます。


二段階滴定


二段階滴定は超典型問題ですから,これが出来ない受験生はいらっしゃらないと思いますが,念のためポイントを説明しておきます。もともと二段階滴定は空気中に放置した水酸化ナトリウムは空気中の二酸化炭素を吸収する反応をすることで,不純物の炭酸ナトリウムが混在するというところから話がスタートします。
 だから,水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合溶液というのが一番多いパターンなのです。
ちなみに今年の川崎医科大学では炭酸ナトリウムに炭酸水素ナトリウムが混合した場合の問題が出題されていました。こちらは動画セミナーで言及しております。マルマガ登録すれば見られます!東京女子医科大学でも出題の可能性は十分あるパターンですから,動画を見て頂きたいと思っています。


ワルダー法

このパターンが問題集等で一番収録されている超典型問題です。東京女子医科大学を受験される皆さんであれば,絶対に落とせないパターンです。
滴定1として,フェノールフタレイン指示薬で塩酸を滴下します。塩酸C1モルで指示薬が赤色→無色となることで終点がきまります。

滴定2として,メチルオレンジ指示薬で塩酸を滴下します。さらに塩酸C2モルで黄色→赤色となることで終点が分かります。  
このパターンでは,滴定2から攻めて,炭酸ナトリウムのモル数がC2モル,これを踏まえて滴定1を計算すると,水酸化ナトリウムのモル数はC1モルと分かります。


ウィンクラー法


問題集に収録される量が少ないため,あまり慣れていない受験生も多いかもしれません。しかし,東京女子医科大学ではなんとなくこっちがでそうな気がするんだよな…。あくまで予感ですが(笑)
先ず初めに混合溶液を2つの三角フラスコに等分します。そして,
操作Ⅰとして,一方にメチルオレンジ指示薬として塩酸を滴下します。塩酸C3モルで黄色→赤色の変化が生じます。  
操作Ⅱとして,もう一方の三角フラスコに塩化バリウムを十分量加えます。この操作は炭酸バリウムを沈殿させ,炭酸ナトリウムを除去するのが目的です。 
沈殿除去の後,フェノールフタレインを指示薬として塩酸を滴下します。塩酸C4モルで赤色→無色の変化で終点が分かります。
このパターンでも,操作2から攻めます。分けられた三角フラスコ中の水酸化ナトリウムのモル数はC4モルですね。
操作Ⅰ中の水酸化ナトリウムも同じ モルです。

操作Ⅰでは塩酸は,水酸化ナトリウムのモル数+2×炭酸ナトリウムのモル数と等しいですから,分けられた三角フラスコ中の炭酸ナトリウムのモル数は(C3-C4)÷2モルですね。
以上の議論から, 最初(等分前)の混合溶液中の水酸化ナトリウムのモル数は2C4モル,炭酸ナトリウムのモル数は C3-C4モルとわかります。


 
DO(溶存酸素)

今年の近畿大学医学部に出題されました。今年の流行の可能性があります!東京女子医科大学受験生の皆さんも要チェックです!
試料中の酸素は,水酸化マンガンと反応してオキシ水酸化マンガンとなります。オキシ水酸化マンガンは2倍のヨウ化カリウムと反応し,オキシ水酸化マンガンと等モルのヨウ素が生成します。 
ヨウ素をデンプンを指示薬としてチオ硫酸ナトリウムと反応させると

ヨウ素は2倍のモル数のチオ硫酸ナトリウムと反応します。青紫色が消えるのが終点です。


ブランクテストのあるCOD


一般的なCODに関しては,YouTubeの「医学部特訓塾チャンネル」にCODの動画をアップしていますのでそちらをご覧頂きたいと思います。今回はブランクテストのあるCODの話題ですが,こちらもメルマガ登録で見て頂ける動画で板書を交えて解説をしていますので,そちらをご覧ください。東京女子医科大学では,このくらいのレベルの問題がいつ出題されてもおかしくないので必ずチェックしておいてください。

 
無機でチェックしておきたい内容


色とか合金とかメッキとか工業化学とか…女子医科大学では繰り返し問われているので,メルマガ登録後にご覧いただけるB4のプリントをチェックしてみてください。過去20年間の東京女子医科大学を分析した中で,よく出てきたところ,今年出そうなところをまとめてみました。このプリント1枚を見るだけでもメルマガの意味があります(笑)!
 


本田 哲生
本田 哲生
医学部特訓塾代表。化学科講師。東京大学教育学部卒業。東京大学理科二類に在籍中の1992年から,杉並区阿佐ヶ谷の地で大学受験の専門塾を設立。30年以上,大学受験の指導を続けている。どうしようもないダメな生徒を自宅に下宿させ国立大学医学部に合格させたことを契機に,医学部受験指導を開始,医学部受験指導も23年に及ぶ。2008年に小柏先生と共に医学部専門予備校である医学部特訓塾を立ち上げ現在に至る。医学部特訓塾代表であり,同時に現場に立ち続ける化学講師でもある。

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