北里大学医学部 化学の傾向と対策

皆さん、こんにちは!
北里大学医学部の化学の出題傾向とその対策について
記事を書かせていただきます。

目次[非表示]

  1. 1.総論
  2. 2.2019年度について
    1. 2.1.Ⅰ 小問集合
    2. 2.2.Ⅱ 小問集合
    3. 2.3.Ⅲ 小問集合
    4. 2.4.Ⅳ 弱酸のpHと電離定数の問題
    5. 2.5.Ⅴ イオン交換樹脂
    6. 2.6.まとめ
  3. 3.2018年 
    1. 3.1.Ⅰ 小問集合
    2. 3.2.Ⅱ 塩素に関する問題
    3. 3.3.Ⅲ 小問集合
    4. 3.4.Ⅳ 実在気体に関する状態方程式
    5. 3.5.Ⅴ ペプチドの構造決定の問題
    6. 3.6.まとめ
  4. 4.2017年
    1. 4.1.Ⅰ 小問集合
    2. 4.2.Ⅱ 金属イオンの分離
    3. 4.3.Ⅲ COD
    4. 4.4.Ⅳ 混合気体と圧平衡定数
    5. 4.5.Ⅴ 油脂
  5. 5.まとめ


総論

北里大学医学部の問題は大問が5題あり,
前半の3題は小問集合。
年度にもよりますが、ここのところ、だいたい後半の2題が大きなテーマ毎の出題となっています。
後半の問題は考えたり計算することも必要になるので,持ち時間が2科目で100分、
つまり化学には50分しかかけられないので,
前半の小問集合をいかにテキパキ解いていくかが重要です。
小問集合の出題は多岐にわたりますが,難易度は標準的で,センターレベルの軽い問題も多いので,
そういう問題にはスピードと正確性をもって確実に得点していく必要があります。
選択肢は意地悪なものはないので純粋に勉強量にものを言わせましょう。

2019年度について


合格点は70点です。


Ⅰ 小問集合

問1 結合エネルギーの基本問題
問2 溶液の混合だが、質量保存則と%濃度に着目し,
表の該当箇所を探し密度を決定し、そこから混合溶液の体積を求めるという問題で、
受験生にとっては不慣れな作業のため苦労した方も多いだろう
問3 科学用語を正確に理解していれば簡単に解ける問題
問4 水銀柱の基本的な問題だが,
医特のように「水銀柱」を体系的に教えている予備校で
学んだ生徒なら楽勝だが,体系的に勉強したことがない受験生には難しいかもしれない。
問5・6・7 センターレベルの無機・有機の知識を問う基本問題
問6 アルケンのオゾン酸化の問題は医学部受験生なら十二分にトレーニングされているはず。
厳しい言い方だが,この問題が難しく感じるようだと勉強不足です。
Ⅰは、1ミスまでで通過したい。


Ⅱ 小問集合

問1・2・3 センターレベルの内容を聞いているに過ぎない
問4 放射性同位体の壊変は不慣れな受験生には難しく感じるかもしれないが,
本問は問題文をしっかり読めば知識がなくても解ける。
ただ,本文を読解しながらゆっくりやっていると時間が足りなくなるのが北里大。
だから事前準備が望ましい。本問が解けるかどうかに関わらず,
放射性同位体のα壊変,β壊変は中身は簡単なので
後日公開される私のYouTube動画で学んでおいてほしい。


Ⅲ 小問集合

問1・2・3・4 全てセンターレベルの問題。
さらっと5分以内に通過したい。


Ⅳ 弱酸のpHと電離定数の問題

本問は,近似が使えないパターンだから「公式の丸暗記」で乗り切ろうとする受験生には難しい。
私のYouTube動画にも近似が使えないバージョンは出題頻度が高くないため載せていないが,
通塾している生徒やWebで指導している生徒には何回もやらせているので,
問題文にビビらなければ出来たであろう。しかし,受験生の多くの実情を考えると
この問題はある程度失点はやむを得ないと思います。
2/12(水)の「後期対策無料講座」では,近似のできないパターンも扱う予定です。


Ⅴ イオン交換樹脂

内容自体は基本的だが,実際に計算をしなければならないため,
本問に十分時間をかけられないため高得点は難しかったのではないかと思う。


まとめ

全般的に基本的な知識で押せる問題が多く,時間制限がなければ
合格ラインははるか上になる試験ですが,北里大学医学部は2科目で100分ですから,
見切りよくテキパキと問題を解かないとトータルで70%を超えることは難しいと思います。
医学部入試全般に言えることですが,一部の出題を除き,相当な難問を解ける必要はないけれども,
知識に穴がなくなるまで何十回もトレーニングを重ねていくような勉強が必要です。
YouTube講義で理解してくれた後は,何回も何回も類題をこなすようなトレーニングや,
年間を通じたテストを積み重ねるという勉強が必要です。
これは医師の職業的なトレーニングに似ていると思います。未知の病気を治すことはできなくても,
自分の専門とする診療科目に関しては,あらゆる症例を学び,常にブラッシュアップし続ける,
そういう学習習慣を受験時代から身に着けて欲しいという大学からのメッセージだと受け取ってもよいのではないでしょうか?

2018年 


合格点は65~70%です。


Ⅰ 小問集合

問1 同位体の組み合わせに関する問題で,医学部受験生としては,似たような問題をどこかで経験していなければならないでしょう。
問2 反応速度の問題で,時間経過とともに濃度がどのように変化するかのグラフを選ぶ問題。センターレベルです。
問3 鉛に関する問題だが,浅い知識でも瞬殺できる。
問4 気体の基本問題。
問5 酸化還元の基本問題
問6・7・8 無機・有機の基本問題
Ⅰの小問集合は1~2ミス以内で通過しなければならない。


Ⅱ 塩素に関する問題


小問集合ではないが,簡単な問題。


Ⅲ 小問集合

問1は出題ミスか。問題が削除されました。
問2 冷却曲線の基本問題
問3 混合溶液の沸騰
あまり扱ってこなかった受験生が多いはず。 問題文を読み取る力があればさほど難しくないが,
制限時間を考えると,経験の浅い受験生は飛ばして進んでも良かったと思います。
問4 溶解度の基本的な問題


Ⅳ 実在気体に関する状態方程式

受験生の熟練度の低い分野であるため,計算量を考慮すると,本問は後回しにして
残り時間で最後に解答すべきであろう。


Ⅴ ペプチドの構造決定の問題

計算もあるが,計算量自体は大きくないため,Ⅳを飛ばしⅤを確実に高得点するべきです。

まとめ

実際には時間制限を考えると半分くらいできていれば良い。例年よりも問題の難易度は高いため,
合格点も5~7%位は下がったと思われます。後半の計算が重いので,
65%以上得点するためにはⅢまでは合計で1~2ミスで通過し,
Ⅴの半分をキープし,Ⅳを1つ2つ正解できれば十分だったと思います。
このような試験ではクレバーに「7割狙い」をしていくことが重要です。

2017年


Ⅰ 小問集合


問2・4は計算が入るが,それ以外はセンターレベルの知識問題。計算もさほど重くないのでほぼ満点通過か1ミスくらいで踏ん張りたい。


Ⅱ 金属イオンの分離


特に細かい知識はない。満点通過。


Ⅲ COD

このCODを素早くとけたかどうかが全体の時間をうまく回せたかどうかに直結する。
COD自体が難しい、というレベルではダメだが,素早く解けるようになるまで熟練できていたかが
勝敗を分けたと思います。今の医学部入試に勝つ、というのはそういうことです。


Ⅳ 混合気体と圧平衡定数


難しい問題ではないが計算量なので,時間を見ながら解き進めるべき問題です。


Ⅴ 油脂

油脂に慣れていれば難しくはない問題でしたが,nだとかmだとか文字が入ることで
いつもは楽勝なのに間違えていた塾生がいました。落ち着いて取り組めればほぼ満点で通過できる程度の問題です。

2017年の難易度は決して高くないです。しかし,ⅢやⅣに手間取ってしまうと
50分はあっという間に過ぎてしまいます。

まとめ

北里大学医学部の化学は50分で5問解くので,知識問題は小問1個を1分以内で処理し,
計算のある大問に少しでも時間を回すこと。70%取れれば良い試験ですから
極論を言えば、大問1つくらい見逃してでも全体で70%は出るはずですから,
割り切って戦えるかどうか。それを踏まえて過去問を解いてみると良いでしょう。
受験生諸君の健闘を祈ります!!




















本田 哲生
本田 哲生
医学部特訓塾代表。化学科講師。東京大学教育学部卒業。東京大学理科二類に在籍中の1992年から,杉並区阿佐ヶ谷の地で大学受験の専門塾を設立。30年以上,大学受験の指導を続けている。どうしようもないダメな生徒を自宅に下宿させ国立大学医学部に合格させたことを契機に,医学部受験指導を開始,医学部受験指導も23年に及ぶ。2008年に小柏先生と共に医学部特訓塾を立ち上げ現在に至る。医学部特訓塾代表であり,同時に現場に立ち続ける化学講師でもある。

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