2024年度東京医科大学面接試験の解答例
2024年度東京医科大学の二次試験の面接において、MMI形式のような質問がなされました。今後、医学部入試の面接試験においてMMI形式(もしくは近い内容)の質問は増えていく可能性があります。今回は、2024年度の東京医科大学の質問内容を元に解答を考えてみました。まずはMMIとはどんなものか復習しておきましょう。
目次[非表示]
MMI(Multiple Mini Interview)について
MMI(Multiple Mini Interview)は、医学部や歯学部などの入学試験で用いられる面接形式です。複数の短い質疑応答やプレゼンテーションを複数回実施し、志願者の様々な能力や資質を評価します。MMIの特徴としては以下のようなものが挙げられます。
- 志望理由や自己PRのような事前の準備が難しい
- コミュニケーション能力、倫理的判断力、問題解決能力などを評価できる
- 一人の面接官の主観的評価に偏りづらい
MMIでは、事前準備が難しく受験生本来の思考力などが問われます。また、短いセッションを複数回繰り返すことにより、個々の質問内容の得手不得手に影響されにくく公平な評価をしやすくなっています。
2次試験でMMIでの面接試験を課す主な大学は以下の通りです。
1.東京慈恵会医科大学
2.東邦大学
3.藤田医科大学
上記3校のうち、東京慈恵会医科大学と東邦大学は質疑応答形式で面接が行われます。藤田医科大学はプレゼンテーション形式で面接が行われます。
2024年度東京医科大学二次試験面接内容(受験生ヒアリング)
【質問内容】
患者Aが「いつも診てもらっている医師に手術をしてもらいたい」と希望し、当該医師が深夜に呼び出されて、患者Aの手術を行った。その医師は、翌朝いつも通り出勤をしてきました。その医師はこの後、患者Bの手術予定がはいっています。
問1:あなたは睡眠時間を削って何かをしたことがありますか?
問2:医師が睡眠時間を削ることについてどう思いますか?
問3:患者Bやその家族の立場になって考えたとき、睡眠時間の少ない医師に手術をされることについて、どう感じると思いますか?
以上のような内容です。それでは早速質問の解答を考えていきましょう。
解答のイメージとしては、医学部受験生が現実的に答えられる範囲をイメージしています。
満点解答というよりは合格点以上といったイメージです。10段階評価でいえば8くらいといったところでしょうか。
問1解答例と解説
問1:あなたは睡眠時間を削って何かをしたことがありますか?
解答例:「はい、あります。学校の定期テストが近づいてきた時などは勉強が間に合わず、睡眠時間を削って勉強したことがあります。また、高校3年生の時は深夜まで起きて受験勉強をしたこともありました。しかし、睡眠不足が続くと集中力が低下し、かえって効率が悪くなることも経験しました。この経験から、適切な睡眠時間の重要性を学びました。」
(解説)ここは正直に答えておくのが良いでしょう。おそらくほとんどの人が睡眠時間をけずって何かをしたことがあるかと思います。しかし、睡眠不足は明らかにマイナスな行動です。なので、ゲームやTVなど娯楽に関するものより学習に関する内容を述べ、学業への熱心さをアピールしましょう。また、睡眠を削ること自体を正当化せず、経験から得た教訓なども述べるとより良いでしょう。
問2解答例と解説
問2:医師が睡眠時間を削ることについてどう思いますか?
解答例:「基本的に睡眠時間を削ることは良くないと思います。睡眠不足は、判断力や集中力の低下を招き、手術などを行う際に大きなリスクとなると思います。
しかしながら、医師の患者さんに対する熱意や使命感自体は共感できるものでもあります。今回の場合であれば、手術の実施は医師の判断ではなくおそらく病院の判断となるかと思いますので、患者様に事前に理解を得ることや複数主治医制などで組織的な対策をすべきであったと思います。また、2024年4月からはじまる医師の働き方改革においてもこのような状況を避けるための体制づくりが求められていますので、医療の質を落とさず、医師の健康を守る仕組みが必要だと思います。」
(解説)職業に関わらず、睡眠時間を削ることはNGです。医師の気持ちに共感を示しつつ問題点がどこにあるのか言及しましょう。また、病院という組織的な対策の必要性があることも意識しましょう。さらにこの質問は2024年4月からスタートした医師の働き方改革を意識していますので、これをアピールできるとより良いと思います。」
問3解答例と解説
問3:患者Bやその家族の立場になって考えたとき、睡眠時間の少ない医師に手術をされることについて、どう感じると思いますか?
解答例:患者Bや家族の方にとっては、間違いなく不安になると思います。患者にとって最善の状態で手術を受けたいという気持ちは当然のことだと思います。一方で、医師側としては、緊急時などやむを得ない場合があるとはいえ、患者Bさんへ改めて説明を行ったり、もし患者さんが希望するなら日程を変更するなど、ある程度患者さんの不安を取り除くことはできると思います。こちらも、医師個人だけでなく。働き方改革をもとにした組織的な対応が必要だと思います。
(解説)こちらは素直に患者Bにとっては不安になると伝えましょう。また、どのようにその問題を解決できるかをしっかりと考えて答えましょう。この質問も前問と同じく医師の働き方改革について確認しておくと、より答えやすかったと思います。
全体総括
問1に関しては、自身の経験に関する内容ですが、全体的には2024年4月から始まる「医師の働き方改革」に関する質問でした。この意図が、質問から読み取れるかどうかで面接の点数は大きく変わるかと思います。この医師の働き方改革は始まったばかりですので今年の医学部入試においても問われる可能性は十分にありますので、医学部受験生はホームページでしっかりと内容を押さえておきましょう!
参考)医師の働き方改革:https://iryou-ishi-hatarakikata.mhlw.go.jp/