2024年10月15日
皆さん,こんにちは!医学部特訓塾代表の本田です。今回は受験生に非常に人気の高い東京医科大学に関し,2024年の面接試験で実際に聞かれた内容や,面接・小論文の実際の合格者達の得点状況などを細かくお知らせしたいと思います。特に,面接の内容に関しては,赤本や予備校の出す入試情報書でも知りえない貴重な情報ですし,実際の面接・小論文の得点を集めて一覧表にしたものはどこにもありませんので,東京医科大学に進学を希望されている皆さんにとっては,かなりお役に立てる情報であると自負しております。
目次
1.1 面接の形式について
1.2 2024年面接内容再現
2.1 2024年小論文試験概要
3.1 2024年合格者の得点公開
3.2 面接・小論文の採点について
1 東京医科大学の面接の形式と内容について
1.1 面接の形式について
東京医科大学の面接試験は,グループ面接ではなく,個人面接です。面接試験の配点は40点です。面接時間は10~15分で,一部,MMI型の面接内容も入っています。
MMI(Multiple Mini Interview)という言葉,聞きなれない方もいらっしゃるのではないかと思います。MMIとは,医学部入試で採用されている特殊な面接形式で,特定の状況下でどのように対応するかを問うような内容であったり,面接官と特定の役割を演じさせられる内容であることもあります。正解のない問題が多く,受験生の考え方や判断力などを試す試験です。MMIは通常の面接とは異なる形式の面接試験なので,MMI型の面接試験が行われる医学部を志望する際には,ある程度,この形式に慣れておく必要があると思います。この試験の目的は従来の面接では評価し切れない受験生の本質的な資質を見抜くことです。医療現場で求められるコミュニケーション能力や,受験生のもっている倫理観,受験生の問題解決能力などを評価する意図があります。準備に当たっては,日常的に医療に関連する話題に対し,自分の考える軸をもって意見をまとめる練習をすることが有効であると思います。
1.2 2024年面接内容再現
以下は2024年の春に医学部特訓塾から東京医科大学に合格し進学した生徒に聞き取り調査をした内容です。東京医科大学の面接試験の内容をここまで詳細に公開している予備校はほとんどないと思うので貴重な資料だと思います。
患者aが「いつも診てもらっている医師に手術をしてもらいたい」と希望し、当該医師が深夜に呼び出されて、
患者aの手術を行いました。その医師は、朝いつも通り出勤をしてきました。その医師はこの後、患者bの手術予定が入っています。これに関し以下の設問に答えてください。
問1:あなたは睡眠時間を削って何かをしたことがありますか?
問2:医師が睡眠時間を削ることについてどう思いますか?
問3:患者bやその家族の立場になって考えた時、睡眠時間が少ない医師に手術されることについて、どう感じると思いますか?
上記問題以外にも,
・あなたは周りの目を気にしますか?
・言うことを聞かない患者に対してどう接するべきだと考えますか?
・あいまいな指示をされたら困りますか?
・海外旅行に行って感じたことは?
・高校生時代のクラブ活動では,どこのポジションだったか?
などの質問もされたようです。この辺は,一般的な面接試験のようですね。
2 東京医科大学の小論文について
東京医科大学の小論文試験は2020年から公表されるようになりました。
課題文を与えられ,内容を説明させられたり,意見を論述させられたり,具体例を説明させられたり…と年度によって多少の違いはありますが,600字での論述なのでさほど分量が多いという訳ではなく,ごく標準的な小論文の練習をしておけば十分ではないかと思います。
2.1 2024年小論文試験概要
2024年に出題された問題は,現時点では赤本が未発売なので,実際に受験して合格した卒業生からの聞き取り調査をもとに書かせていただきます。
認知症の進行についての事例についての文章(どんどん進行し,最終的には物と生き物の区別もつかなくなっていった)が与えられ,①人と物,物と物を私たちがどう区別しているのか②それらの区別ができなくなっていく過程での苦しみにはどのようなものがあるか③そのような苦しみと私達の社会とのつながりとはどのようなものか,
上記の3つについて論じさせられるような出題です。間違えても良いから,しっかりと論理立てて書くこと,という指示もついていました。
例年の文字数や後述の採点結果を考えると,小論文では,無難に書くことを目標にごく普通の練習をしておけば良いと思います。ただし,これは医学部特訓塾のように,きちんと毎週,小論文の授業が設定されている予備校に所属している場合であって,まったく何も指導を受けていない受験生は,いきなり試験場で小論文を書くことは難しいと思いますので,その場合は,何らかの指導を受けておくべきであろうと思います。
3 合格者の面接や小論文の得点はどうなっているのか?
3.1 2024年合格者の得点公開
2024年に医学部特訓塾から東京医科大学に合格・進学した東京医科大学の1年生にお願いをして,2024年度に東京医科大学に合格し,実際に東京医科大学の1年生に在籍している9名分の,面接と小論文の得点を集めてもらい,合格者の属性(現役生か浪人生か,男性か女性か)と共に表にしてみました。なかなか見ることのできない貴重な資料だと思います。
合格者の属性を明らかにしたのは,現役生,1浪生,2浪生であからさまな差別が存在するのか?男性・女性に何らかの差があるように感じられるのか?を明らかにする目的です。小論文では15点~60点の15点刻みで得点が分布していますが,高得点者上位2名が2浪生であることから,現役生を優遇するような措置は取られていないようですね。面接では,20点,30点,40点の10点刻みですが,最高得点が2浪生,女性は30点,40点のみで,20点が4名もいる男性よりも面接での得点が高い傾向にあり,女性差別は全くなさそうに思えます。
合格者の属性 | 面接 | 小論文 |
現役・男子 | 20 | 30 |
現役・男子 | 20 | 30 |
現役・女子 | 30 | 30 |
1浪・男子 | 20 | 30 |
1浪・男子 | 30 | 30 |
1浪・女子 | 30 | 15 |
2浪・男子 | 20 | 45 |
2浪・男子 | 30 | 15 |
2浪・女子 | 40 | 60 |
3.2 面接・小論文の採点について
先にも述べましたが,この9名の資料からは,浪人・女子への差別はしていないことが明らかです。2浪の女子が面接・小論文で満点を取っています。この生徒は,学科の得点では今回の集計に協力してくれた医学部特訓塾の卒業生と同点なのですが,面接・小論文の点数が高かったため,特待生合格をしています。凄いですね。
面接はほとんどの合格者の得点が20点か30点なので,面接が上手であれば30点,面接があまり上手でなければだと20点がつくのだと思います。面接で20点以下の生徒は,かなり問題があると判断され,合格させない措置をとっているのではないかと考えられます。実際に0点がつく受験生もいるという情報もあります。面接で40点がついているのは,かなり特別に良かったのだと思われます。ちなみに建学の精神や校是に基づいて受け答えが出来る受験生には高得点がつくのではないかという情報もあります。当然ですが,十分な下調べは必要ですね。
小論文では,無難に書けば30点がつき,出来が悪いと思われると15点がつき,出来が良いと45点がつくのだと思います。60点がついたのは,かなり異例の事ではないかと思われます。
このようにして考えると、面接・小論文はある程度無難にまとめられれば良いのではいかと分かりますね。小論文や面接は受験生にとっては不安の種であると思いますが,学科試験の勉強時間を大幅に削ってまで対策を必死に立てるべきかと言われれば,私は学科試験を頑張りなさいと答えると思います。面接、小論文対策の重要性を必要以上に説いている予備校や予備校講師が一部存在しますが,それは受験生の不安に付け込んで儲けてやろうという大人の事情ですから,あまり振り回され過ぎないようにしなければなりませんね。
自分がごく普通の印象を与えられる自信があるならば,最低限の準備を行っておけば十分です。こんなことを明らかにすると,業界で困る人もいるんだろうな…と思いますが,事実を明らかにするのが受験生の為ですから敢えて文書にさせて頂きました。
とは言え,全くの無策の状態で試験場に行くのはさすがにマズいので,最低限の練習は必要不可欠です。
4 まとめ
面接や小論文はある程度システマティックに10点刻み,15点刻みなどの採点がなされています。ですからあまり深刻に考えすぎず,月に2~3本の小論文を書く訓練と,入試シーズンが始まる前に何回かの訓練を行い,指導者からどういうところが上手くできていて,どういうところが上手くできていないのかということを指摘されておくことは重要です。また,建学の精神や校是など軸にして,自分だったらどう考えるだろうか?ということを日頃から意識して医療問題に出会うたびに考える癖をつけておくことも重要で,受験する大学の建学の精神や校是などについては何回も目を通しておき,入試直前にはしっかりと見直して試験に臨まなければなりません。
まずは,英語、数学,理科の学力を磨いた上で,日ごろから医療に関する話題など題材に,自分だったらどう考えるのか?ということをイメージしたり,ニュースなどにも最低限の関心をもって日々の勉強に向かっていただきたいと思います。
執筆者
本田哲生
医学部特訓塾代表。化学科講師。東京大学教育学部卒業。東京大学理科二類に在籍中の1992年から,杉並区阿佐ヶ谷の地で大学受験の専門塾を設立。30年以上,大学受験の指導を続けている。どうしようもないダメな生徒を自宅に下宿させ国立大学医学部に合格させたことを契機に,医学部受験指導を開始,医学部受験指導も23年に及ぶ。2008年に小柏先生と共に医学部特訓塾を立ち上げ現在に至る。医学部と訓塾代表であり,同時に現場に立ち続ける化学講師でもある。